2011年1月 北朝鮮の残された教会

ホジュンは、家にあるわずかな食料で夕食の用意している母を見つめていました。国が北と南に分かれた時、母はまだ子供でした。共産党が北の支配権を握って以来、生活は非常に困難でしたが、母は父と数人の仲間と一緒に密かにキリストに対する信仰を持ち続け、幼い息子にも信仰を伝えたのでした。現在青年となったホジュンもまたキリストを信じ、その力に希望を持っています。彼は、家族が、また北朝鮮全体が、迫害を恐れることなく自由に神を礼拝できる日を待ち望んでいます。その日はすぐに来るのでしょうか。

隠れており、迫害されている
私達が期待しているよりも早く、北朝鮮に変化は起こっています。国は、世界に向けて開かれ始めています。多くの人が閉ざされた国だと見ているにもかかわらず、発展の援助のために奉仕する人達に向けて、国は開かれています。北の指導者達は、外の世界に対し閉ざされ、敵対しているように見えますが、実際は外の世界との対話を求めているのです。しかし、北朝鮮の教会は未だに隠されており、外の世界にはっきりとわからない状態です。
私達はあえて、「地下教会」ではなく、「隠された教会」という言葉を使います。なぜなら、北朝鮮の教会は、中国や旧ソ連の地下教会のようには機能していないからです。それは、生き残った、残された教会であり、時には見つけるのが困難です。
北朝鮮の残された教会は、1907年の大リバイバルの副産物です。首都ピョンヤンでの聖霊の働きは、非常に力強かったため、ピョンヤンは「アジアのエルサレム」と呼ばれていました。その100年後に至っても、北も南もまだその影響を受けているのです。2万人に近い宣教師たちが、韓国から世界に出て行っていることが、北の地で起こった大リバイバルの実が続いている印です。北の教会は母教会であり、韓国の教会は娘(枝)教会と呼ばれています。
しかしながら、北朝鮮のクリスチャンは、21世紀における最も激しい迫害といわれる中を通っています。トーマス・モートンは、世界中の「苦しみに合っている教会」は、「エジプトから脱出してシオンに向かっている途中で、今は荒野を通過している」と言っています。北朝鮮の教会は、そのとおり、現在荒野の苦しみ、迫害、貧困を通っていますが、神の民は、「シオンに向かっている」のです。

リバイバルへの期待
北朝鮮のクリスチャンの数がどのくらいなのかは、誰も知りませんが、その数はたぶん私達が想像するよりはるかに多いでしょう。預言者エリヤが、残されたのは私だけですと不平を言ったとき、神は、バアル膝をかがめていない者は、まだ7,000人も残っていると言われました。彼らは隠されていたのです。まさに北朝鮮の教会が隠されているのと同じように。神は北朝鮮にいるご自分の民を、荒野において守り、キリストの似姿へと形造るために隠されているのです。それは、彼らが世の光として用いられるためです。
リバイバルは、朝鮮半島に再び起こります。多くの人が、そのリバイバルは北から、残された神の民の中から始まると強く感じています。首都ピョンヤンには、4つの「公認教会」、ぺンテコステ系教会2つ、カトリック教会1つ、ロシア正教会1つがあります。この4つの公認教会に加えて、教会の建物なしに、礼拝をする場所が数百箇所あり、それは政府によって許可されているようだと、調査員達は述べています。そして、さらに本当に苦しんでいる、隠れたクリスチャンの数は私達には知りえません。
1960年代に私は、北朝鮮から1949年に逃げてきたクリスチャンの男性と友人になりました。彼は、足を怪我して付いて来られなかった9歳の娘と家族を残してきました。翌年に家族を迎えに戻って来ると約束していましたが、朝鮮戦争が始まり戻ることができませんでした。不思議な導きで、2000年に私は彼の娘さんに会うことができました。彼女は60歳になり、ようやく南に逃れてきたのです。彼女から、お母さんが毎晩彼女をしっかりと抱きしめて、優しく素晴らしい賛美歌を歌って、聖書のことばを暗唱してくれたことを聞きました。隠され、残された民の1人である彼女のお母さんは、その信仰を娘に伝えたのです。「私のような人は、北朝鮮には数多くいます」「どうぞ、私達を見捨てないでください」と彼女は言いました。
神は、今も義の木を、人を、北朝鮮中に植え続けておられます、政府高官の中に、軍の中に、また他の村々、町々にも。

新しい朝鮮
神はこの世界を、人間が人種や政治的見解、力や富などによって作った境界線を通して見ておられません。私達は、朝鮮半島が回復されることを、それによって朝鮮の人々が神の造られた元の姿、アジアの灯台に戻れるように、祈らなければなりません。どのようにしたらこのことが実現するのでしょうか。北と南の回復、そしてまったく新しいひとつの統一された国、新しい朝鮮です。
朝鮮半島における最大の問題は、恐れです。韓国は北朝鮮を恐れていますー国を占領されること、共産主義思想、統一を実現するためには莫大な経済的犠牲を払わなければならないことへの恐れです。北朝鮮も韓国を恐れています。北朝鮮を攻撃するのではないか、西洋化された現代文化が北朝鮮の思想を崩壊させるのではないか、強いクリスチャン達の証しが北の多くの人々を改心させるのではないかという恐れです!しかし、神は北と南の神の民を、この国の癒しのために、恐れの家から出て、神の愛の家の中に入るように呼んでおられるのです。
北と南が統一された時、福音は北朝鮮の村々へと広がっていくでしょう。人々は70年近くも彼らを支配していた大きな悲しみから癒されるでしょう。そして、福音が朝鮮半島から世界中に広がっていくでしょう。

祈りましょう。
・ 迫害されている北朝鮮のクリスチャンに忍耐が与えられ、イエス・キリストを証しすることにおいてさらに勇気と大胆さが与えられるように
・ 極度の食料不足によって、栄養失調や病気に苦しんでいる人々のために
・ 北朝鮮の指導者達が救われるように、また「隠されているクリスチャン達」が政治、教育、産業に影響を与え、大胆にイエス・キリストの証しができるように
・ 南北の統一のために、それによって福音が国中に広がり、統一された朝鮮半島の教会から宣教師が出て行くことができるように

ディビッド E. ロス著
ベネディクト 恵湖 翻訳